経費にしすぎると損する話|「節税」の正体と後から届く請求書
こんな悩み、ありませんか?
たぬ吉
ぴよ
ぴよさん、それは節税ではなく、ただの散財です。「経費で得する」の計算の正体と、経費を使いすぎた人に後から届く請求書——お金の話の最後はこの本音で締めます。
ハリマネ
ちなみに、帳簿に載せた後の確定申告そのものは、私はタックスナップに丸投げしています(2年使った本音レビューがあります)。
結論:経費は魔法じゃない。戻るのは「自分の税率」の分だけ
経費を使えば税金は減ります。ただし戻ってくるのは「自分の税率」の分だけ。そしてその税率は人によって違い、15%の人もいれば43%の人もいます。よく聞く「税率30%」は万人の数字ではないので、まず自分がどこにいるかを出してから話を進めます。
ステップ1:税率がかかるのは「売上」ではなく「課税所得」
ここを飛ばすと計算が全部ズレます。税率は売上にかかるのではなく、売上から経費と所得控除を引いたあとの課税所得にかかります。順番はこうです。
数字を入れてみます。所得控除の合計を仮に150万円(青色申告特別控除65万円+基礎控除・国民年金や国保の社会保険料控除など)として、2人並べます。
ステップ2:課税所得から自分の税率を読む
課税所得が出たら、あとは表で読むだけです。経費で効いてくるのは所得税+住民税の合計なので、その合計と「10万円の経費で実際どうなるか」を並べました。
国保や個人事業税も含めた「来年いくら出ていくか」の全体像は、今年の売上が分かれば、来年の税金はいくら?にカレンダーごとまとめています。
ステップ3:そのうえで「10万円の経費」を計算する
ここまで出せば、年会費の記事でも書いたあの計算がようやく自分の数字になります。
※ビジネスカードの年会費については、以下の記事で紹介しています。
関連記事【仕訳例つき】法人カード・ビジネスカードの年会費は経費になる?勘定科目と落とし穴
さきほどのAさん(課税所得350万円・税率30%)が10万円の経費を使うと、税金は約3万円減ります。手元から消えるお金は7万円。一方のBさん(課税所得200万円・税率20%)なら、減る税金は2万円で、消えるのは8万円です。同じ10万円でも、割引率は人によって変わります。「経費で落ちるからタダ」は、この残りの7万円・8万円が見えなくなる魔法の言葉です。
正しい問いは「経費になるか」ではなく「そもそも事業に必要か」。必要なら経費になって2〜3割引。不要なら7〜8割の損。順番を間違えないことがすべてです。
ハリマネ
魔法が解けた後に残るのは、減った手元資金だけ🦔
所得を下げすぎた人に、後から届く請求書
そもそも個人事業主に届く請求書は、所得税だけではありません。所得をもとに計算されるものが4つあります。
経費を積んで所得を圧縮すると、この4つは確かに軽くなります。問題はその先です。
経費を積んで所得を圧縮すると、税金は減ります。でも「所得が低い」という記録は、あとからあなたの信用として跳ね返ってきます。
- ローン・クレカの審査 — 審査で見られるのは売上でなく所得。住宅ローンの借入可能額が伸びない
- 賃貸契約・保育料・各種手当 — 所得証明が判断材料になる場面は多い
- 事業の育成 — 手元資金が減れば、次の投資(設備・広告・学び)の弾がなくなる
車のローン審査に落ちた経験のある私が言います。審査の場で「本当はもっと稼いでるんです」は1ミリも通用しません。帳簿の数字だけがあなたです。
「残して納税」は負けじゃない
納税は、所得を公的に証明してもらう行為でもあります。しっかり稼ぎ、必要な経費だけ使い、残りに納税して手元に現金を残す——この形が、信用と自由の両方を最大化します。将来の設備投資も、急な出費も、手元の現金が守ってくれます。税金を1円でも減らすことをゲームの目的にすると、このゲームは負けます。
私の基準
私の判断はシンプルで、「経費は心が決める」+「未来の自分が困らないか」の2段チェックです。事業に必要だと胸を張って言えるか。そして、その出費で手元資金と信用がどうなるか。
私の基準ははっきりしています。経費は使う派。とくに時間単価に影響するものは惜しまない。そしてもうひとつ——個人事業主は、いつ売上が立たなくなるか分からない。だからこそ早いうちに投資へ回して、配当が生活費を補充してくれる状態を作る。お金の使い道は「節税になるか」ではなく「心の安定への投資になるか」で決めています。
※わが家のお金の設計図「生活については、以下の記事で紹介しています。
関連記事【実録】わが家のお金の設計図「生活は妻の給与・事業収入は全部未来へ」
たぬ吉
ぴよ
よくある質問
Q. 経費を使うと税金はいくら戻ってきますか?
戻るのは「自分の税率」の分だけです。たとえば税率30%の人が10万円の経費を使うと、減る税金は3万円で、7万円は自腹——「タダ」ではなく2〜3割引で買い物をしただけです。税率は課税所得によって15%の人も43%の人もいるので、まず自分の位置を確認してください。
Q. 節税のために所得を下げるのは得ですよね?
税金は確かに減りますが、「所得が低い」という記録はローン・クレカの審査、賃貸契約や保育料などで後から跳ね返ってきます。赤字申告で車のローン審査に落ちた私が言います——審査の場では帳簿の数字だけがあなたです。納税は所得を公的に証明してもらう行為でもあります。
Q. 経費を使うかどうかは何で判断すればいいですか?
正しい問いは「経費になるか」ではなく「そもそも事業に必要か」です。必要なら経費になって2〜3割引、不要なら7〜8割の損——この順番を間違えないことがすべてです。私は事業に必要と胸を張って言えるか、未来の自分が困らないかの2段チェックで決めています。
※フリーランスについては、以下の記事で紹介しています。
関連記事【立て直しの手順つき】フリーランスがクレカ審査に落ちる理由と対策
まとめ
経費で戻るのは自分の税率の分だけ——「タダ」ではなく、多くの人にとって「2〜3割引」です。所得を下げすぎると審査・契約・手当で跳ね返ってきます。納税は所得の公的証明であり、信用と手元資金を残す選択でもあります。問うべきは「経費になるか」ではなく「事業に必要か」。この順番さえ守れば、節税で損をすることはありません。
たぬ吉
ぴよ
「残して納税」の次は、残したお金の置き場所です。共済・iDeCo・NISAの判断をどうぞ。
\ 次に読むなら /小規模企業共済とiDeCo、僕がどちらもやっていない理由|NISAを選んだ判断
