こんな悩み、ありませんか?

たぬ吉 たぬ吉
年会費1万円のカード、経費で落ちるなら実質タダみたいなもんじゃろ?
ぴよ ぴよ
その考え方、大丈夫なんでしょうか…

「経費になる=タダ」は、個人事業主が一度は通る勘違いです。結論、事業用カード(ビジネスカード・法人カード)の年会費は経費にできます。ただし「タダになる」わけではありません

検索すると「経費で落ちるから実質無料」という言葉が並びますが、この言葉を信じて有料カードを増やすと、毎年じわじわ損をします。一方で、勘定科目が分からず記帳の手が止まる人も多い。この記事では、年会費の勘定科目と仕訳、そして「実質タダ」の正体(戻るのは自分の税率分だけ)を実例で整理します。読めば年会費の処理が迷わず決まり、払う価値のない年会費を見抜けるようになります

仕訳まわりに不安が残る人は、カード払いの仕訳を会計ソフトで片付ける記事が続きになります。

結論:事業用カードの年会費は経費にできる

事業のために使っているカード(法人カード・ビジネスカードを含みます)の年会費は、必要経費として計上できます。勘定科目は「諸会費」や「支払手数料」あたりで処理するのが一般的です。ちなみに私は「諸会費」で付けています。どちらでも構いませんが、毎年同じ科目を使い続けることだけは大事です(年ごとにコロコロ変えない)。

ハリマネ ハリマネ
勘定科目は「どれが正解か」より「毎年同じか」。
科目選びで悩む時間は、1円も生みません🦔

年会費の仕訳例——引き落とし日に1行書くだけ

「勘定科目は分かったけど、実際どう書くの?」で手が止まる人のために、私が毎年やっている記帳をそのまま載せます。事業用口座から引き落とされた日に、1行書くだけです。

年会費の仕訳例(年会費11,000円の場合)自分の払い方の行だけ真似すればOK
払い方借方貸方
事業用口座から引き落とし
(私のやり方)
諸会費 11,000円普通預金 11,000円
プライベートの口座・カードで支払った諸会費 11,000円事業主借 11,000円
発生主義で厳密にやる場合①請求確定日:諸会費 11,000円
②引落日:未払金 11,000円
①未払金 11,000円
②普通預金 11,000円

※勘定科目を「支払手数料」で統一している場合は諸会費を読み替えてください。

消費税の区分は課税仕入(10%)です。カードの年会費はサービス利用の対価なので消費税がかかっています。会計ソフトなら科目を選んだ時点でほぼ自動で付きますし、免税事業者なら区分自体を気にしなくて大丈夫です(※2026年8月時点の一般的な整理です。迷ったら税務署・税理士へ)。

個人兼用カードの年会費はどうなる?

1枚のカードを私用と事業の両方で使っている場合、年会費の全額を経費にするのは筋が通りません。事業利用の割合で按分する考え方になります。……が、正直なところ、利用割合の証明は面倒です。ここでも「カードを分ける」が結局いちばんの節税事務コスト削減になります。個人カード兼用の規約・経理の論点は個人カードを事業に使うとどうなる?で詳しく整理しています。

「経費になる=タダ」ではない——実際いくら戻るのか

経費にすると、その分だけ課税対象の所得が減ります。つまり戻ってくるのは年会費×あなたの税率分だけです。

たとえば年会費11,000円、所得税・住民税あわせて税率30%の人なら、軽くなる税金は約3,300円。実質負担は7,700円残ります。「経費になるから」を理由に不要な有料カードを持つのは、7,700円を毎年捨てる行為です。

※事業で貯めたポイントに税金については、以下の記事で紹介しています。

関連記事【使い方別の整理と私の運用】事業で貯めたポイントに税金はかかる?
「経費になる」の実際の中身
年会費
11,000円
例:有料カード
軽くなる税金
約3,300円
税率30%の場合
=
実質負担
7,700円
毎年これが残る

※戻るのは「年会費×税率」の分だけ。税率は所得により異なります。「経費になるからタダ」にはなりません。

たぬ吉 たぬ吉
タダじゃなくて「3割引」くらいの感覚なんじゃな。
ぴよ ぴよ
「経費になるから」は魔法の言葉じゃないんですね…。

私の判断基準:還元−年会費がプラスなら有料でいい

じゃあ有料カードは全部ダメかというと、そうではありません。私の判断基準はシンプルで、カードを基本的に使う前提で、年間の還元から年会費を引いた額がプラスで多く残るなら、有料カードにするです。

事業の決済は金額が大きくなりがちなので、還元率の差が年会費を超えることは普通にあります。感覚ではなく、自分の年間決済額で一度計算してみてください。式は「年間決済額×還元率−年会費」。これがプラスなら有料の資格あり、マイナスなら無料で十分です。

ハリマネは実際こうしてる

私が事業用に使っているのはGMOあおぞらネット銀行のMastercardプラチナデビット。年会費3,300円(税込)・還元1.2%の現金キャッシュバックなので、年間33万円ほど使えば還元だけで年会費を回収できる計算です。事業の決済額なら数字の上では十分プラス。

……なのですが、正直に言うと、最近これを無料カードに戻そうか考えています。有料カードって「元を取らなきゃ」という意識が働いて、使わなくてもいいものまで使う方向に自分を引っ張るんです。数字ではプラスでも、無駄な支出が増えていたら本末転倒。だったら無料カードで「本当に必要なものだけ払う」方が、結果的に事業の数字はきれいになる——最近はそう考えています。

ありがちな逆転現象に注意

最後に、「経費になる」という言葉に引っ張られて損する典型パターンを3つ挙げておきます。

  • 経費にできるからと使わない有料カードを維持 → 税率分しか戻らず毎年損
  • ポイント欲しさに不要な決済を増やす → 本末転倒
  • 無料カードで足りているのにステータスで有料へ → 事業の数字には貢献しない
ハリマネ ハリマネ
3つとも「経費になるから」が判断を狂わせた形です。
順番は逆で、事業に要るかを決めてから、経費かどうかを考えます🦔

カードはあくまで道具です。「年間決済額×還元率−年会費」の計算式だけ持ち帰ってください。

よくある質問

Q. 年会費を経費にすれば、実質タダになる?

なりません。戻るのは自分の税率の分だけです。税率30%なら年会費1万円のうち3千円が戻り、7千円は自腹です。

Q. プライベートでも使うカードの年会費は?

事業の使用割合で按分するのが原則です。ただ、按分の手間に見合わないならそのカードは経費にしないという選択も現実的です。

Q. 勘定科目は何にすればいい?

「支払手数料」か「諸会費」が一般的です。どちらでも構いませんが、毎年同じ科目を使い続けることのほうが大事です。

※年会費無料の事業用クレジットカード比較については、以下の記事で紹介しています。

関連記事年会費無料の事業用クレジットカード比較|開業初期は無料で十分な理由

※家事按分とクレジットカードの整理方法については、以下の記事で紹介しています。

関連記事【店舗兼住宅の実例つき】家事按分とクレジットカードの整理方法

まとめ

事業用カードの年会費は経費にできます(諸会費・支払手数料など、科目は毎年同じであればOK)。ただし経費になっても戻るのは税率分だけで、「実質タダ」にはなりません——有料カードを持つかは「年間決済額×還元率−年会費」がプラスかどうかで判断してください。私自身は今、数字上プラスの有料デビットを使いながらも「有料だと元を取ろうとして使いすぎる」と感じて無料に戻すか悩み中です。数字の損得と、お金の使い方のクセ——両方を天秤にかけるのが本当の判断です。

たぬ吉 たぬ吉
計算式1本で判断できるのはありがたいのう。
ぴよ ぴよ
私も自分の決済額で計算してみます!

経費の線引きが整った先にあるのは、来年の税金です。金額の見当をつけておくと慌てません。

\ 次に読むなら /【個人事業主の税金カレンダー】今年の売上が分かれば、来年の税金はいくら?

※私は税理士ではありません。制度の説明は国税庁など一次情報を確認していますが、個別のケースは税務署・税理士にご確認ください。

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ハリマネ
実店舗を経営する現役の個人事業主(鍼灸院をやっています)。事業のお金・経費・クレジットカードのことを、同じ立場の目線で「どこよりもわかりやすく」を目標に発信中。広告運用も帳簿も予約システムも、全部自分で触ってみる派のハリネズミです🦔